室長のひとりごと
大谷は40-40、甲府は40-30へ・・・ともに「異次元」の世界
この夏、猛暑と大谷翔平選手のニュースを聞かない日は、ほぼ無い。その大谷選手のビッグニュースが、8月も終わりに近づく24日に飛び込んできた。40本塁打&40盗塁、40-40を大リーグ史上最速で達成。しかも40盗塁をした試合で9回裏、同点二死満塁でのサヨナラホームランというドラマチックな演出付きだった。これぞスーパースター。猛暑の中、蒸し蒸しと不快な日々にあって胸のすく快挙だった。
40-40は大リーグ史上でもまだ5人しか達成していない大記録であり、前人未踏の43-43は目の前、さらに切りよく50-50にも期待してしまう。肘の手術、チーム移籍、元通訳の違法賭博騒動と、シーズン開始当時の嵐のような身辺状況を思うと、この活躍はもはや「異次元」。本人のプロ意識、真摯に野球に取り組む姿勢は、日々の蒸し暑さにグダグダしている我が身と何と対照的か(・・・比べることすら失礼か)。
そのニュースが飛び込んできた日、地元新聞紙面には「甲府の猛暑日 観測最多」という大見出しが踊っていた。前日23日、甲府の最高気温が35.7℃を観測して、この夏の猛暑日(最高気温35℃以上の日)が通算36回目に。1895年からの甲府の観測史上1位だった年間35日を更新した。その1位も何と昨年の記録で、2年続きの最多更新というヒートアップぶりだ。
昼の暑さが猛暑日なら、夜の暑さは熱帯夜。熱帯夜は、気象庁の定義では「夕方から翌日の朝までの最低気温が25℃以上になる夜のこと」になるが、過去の記録と比較する場合は、日最低気温が25℃以上だった日を比べるのが一般的になっている(この熱帯夜を、便宜上ここでは統計上の熱帯夜と呼ぶ)。この文章を書いているのが26日。直近では24日が統計上の熱帯夜だったので、この夏通算23日になった。実はこれも観測史上1位だった2018年の22日を抜いて1位記録更新中になっている。今年の夏は、昼も夜も、記録的な暑さになっている。
大谷選手の記録風に言うと、甲府の猛暑日-熱帯夜(統計上の)は、26日現在で37-23。ともに1位記録更新中で、今後の厳しい残暑予想を考えると40-30に届きそうな勢いだ。「よーし、こうなったら大谷選手のごとく40-30を達成だ!」と、調子に乗って叫ぶわけにもいかないが、昨夏の記録的暑さを上回る今年の暑さだ。
まだ誰も見たことのないステージを突き進む大谷選手。夏の暑さが昨年から新しいステージに入ったかのような地球、日本、山梨。ともに「異次元」の世界に入っている。昨年話題となった地球沸騰の時代は、既にやってきているようだ。我々はもはや40-30の時代を生き抜く知恵を絞らなくてはならない。(写真は甲府盆地の空にそびえ立つ雄大積雲=山崎剣介気象予報士が8月25日に撮影)