室長のひとりごと
春の予感と余寒・・・そして山梨は雪の季節
甲府市岩窪町に武田信玄を火葬したと伝わる武田信玄公墓所がある。愛宕山こどもの国に通じる愛宕山スカイライン沿いのつつじが崎霊園や信玄公正室三条夫人の墓がある円光院にも近い。ここに珍しいウメの木がある。岩窪八房(いわくぼやつぶさ)の梅。山梨県の天然記念物にも指定されている。八房とは実が多くなるという意味で、現地の案内板によると「樹種はウメの変種で「座論梅」ともいわれ、花は淡紅色。一花中にめしべ七~八本のものが多い。実は比較的小粒で、三個結実するものが多く、実が品の字に似ているので、「品字梅」ともいう」などとある。(品字梅=ひんじうめ)
岩窪八房の梅は、3個に結実する数も多く、この種の特徴をよく現しているという。普通のウメより遅咲きで、3月末頃満開になるとあり、立春4日の段階ではまだ堅そうな小さな蕾が付いていた=写真。比較的ご近所に、そんな変わり種のウメの木があるとは知らず、今年は満開の姿を見るのを楽しみにしている。
春告草の別名があるウメだが、まだ寒さが厳しいなか一輪、一輪と花を付け、春を予感させてくれる。岩窪八房の梅の花はまだ先だが、武田神社の北、お屋形さまの散歩道沿いのちょっとした梅林の中に1本、早咲きの白梅があり、立春4日にはもう5,6分咲きとなっていた。春告草の別名通りの働きぶりだ。
3日の節分で寒が明け、4日の立春で春の始まりとなり、その後の寒さは余寒と呼ばれるが、今年は立春に合わせるように寒波がやってきた。寒が明け、いきなりの余寒。2月は、春の予感と余寒が重なるように進んでいく。光の強まりとともに、予感が余寒に勝ってくるわけだが、2月前半はまだまだ余寒にも勢いがある。
山梨の場合、春の予感を中断させる冬の名残りがもう一つ。2月は雪の季節でもある。西高東低の冬の気圧配置が緩んでくると、本州南岸を低気圧が発達しながら進んでいく。いわゆる南岸低気圧。この低気圧による天気の崩れに寒気が絡むと雪が降る。甲府の平年データでは降雪の深さは2月が11㌢で月別最多、雪日数は5.9日で1月と並び1位。大雪は2月に多く、2014年2月14日から15日に降った記録的大雪もまだ記憶に新しい。2月は、春の予感と余寒と雪が重なり合う。
岩窪八房の梅のほかにも、笛吹市一宮町の一宮浅間神社には、1つの花にめしべが2つできて実が2つ一緒にできる夫婦梅がある。こちらも県指定の天然記念物。同神社HPには「2月1日夫婦梅の花が咲き始めました」とある。梅林で言えば、甲斐善光寺近くの甲府市酒折に、県外にも知られる梅の名所・不老園がある。今年も2月1日に開園し、早咲きのウメが順番に咲き出しているという。甲斐市には敷島総合公園に隣接する甲斐敷島梅の里がある。斜面に広がるウメの風景が年々人気を呼んでいる。
春の予感を楽しみながらの2月。ついでに、そろそろコロナ収束の予感も期待したいところだ。