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月めくりに合わせた天気の急変…ついでにティッピング・ポイントについて

2021/09/05

 カレンダーに合わせるかのように9月に入った途端、急に涼しくなった。1日から5日までの甲府の最高気温を並べてみると28.6℃、24.5℃、24.4℃、24.6℃、28.1℃。9月後半から10月上旬並みの気温だ。日照時間に至っては0.6時間、0.0時間、0.4時間、0.0時間、4.4時間とほぼ太陽は隠れたまま。暑がりにはありがたいのだが、曇りや雨の日ばかりでは秋の実りに影を落としかねない。何よりどんよりとした天気は、気分的にも良くない。

 それにしても「1日」からの急変だ。甲府の8月の終わり5日間の最高気温は27日から36.6℃、37.2℃、35.0℃、36.1℃、34.8℃。カレンダーをめくった途端の変わり様だ。日照時間もしかり。9.2時間、10.8時間、6.6時間、9.3時間、6.9時間と続いたが、9月なったら前述の通り。もっとも8月下旬も、お盆を挟んだ中旬の多雨、低温、日照不足を取り戻すかのように急変した天気だったが、また急変した。

 思えば、カレンダーに合わせた急変は昨年もあった。昨年は8月1日に梅雨明けの発表があった途端、堰を切ったように猛暑がスタート。梅雨入りから7月31日までの記録的な降水量や、日照不足、低温傾向が激変。甲府の8月は猛暑日、熱帯夜、月の平均、最高、最低気温すべてで8月の観測史上1位を更新した。今年同様にカレンダーをめくった途端のあまりの変化の大きさに驚いた。自然の急変が、たまたま人間のカレンダーの月めくりに合っただけだが、2年続けての「たまたま」に「おやまあ」という気分にもなる。

 たまたまの月替わり「急変」を取り上げたが、気象の世界で「急変」に思いを馳せると、いつもティッピング・ポイントという言葉が頭に浮かんでくる。ティッピング・ポイント。くだいて言うと、少しずつ変化していたものが、ある時点で突然激しく変化する、その時点のことを言う。内部で許容していた変化が、限界に達して一気に噴出する、その限界ポイントのことだ。イメージとして、海溝型地震に似ている。プレートの沈み込みで生じた歪みエネルギーが徐々に蓄積され、ある限界点を超えると一気にエネルギーを放出して大地震が起きる。蓄積中も多少の地震は起きるが、限界点に達した途端、大地震が来る。歪みの限界点はいつか。今の知見では分からないから怖い。

 気候システムでも、少しずつの変化があるレベルを超えると、元に戻れない、いわゆる不可逆的な大きな変化を生じる可能性が指摘されている。最近は地球温暖化議論の中で、よく聞かれるようになった。温暖化は確実に進行している。毎年のように極端な天気がどこかで発生し、災害が起きる時代になっている。この先、環境が激変してしまう温暖化のティッピング・ポイントはどこにあるのか。もう目の前なのか。多少の猶予はあるのか。目の前のような気もするだけに、今できる努力は欠かせない。

 月替わりの天気急変の話からティッピング・ポイントの心配になってしまったが、急変を話題にしていることに免じてご容赦を。